異質なもの同士が交じり合うことは、簡単ではない。しかしそれを断行することで、化学反応が起きて新しい世界が広がることがある。
中村支店の試みは、2019年に管轄エリアに誕生した「なごのキャンパス」というインキュベーター施設への、あいしん窓口の出店。
そこには、この施設に集う創業者への支援にとどまらない、中村支店の想いがあった。

中村支店
次長 田中 貴康
中村支店
新保 七菜

始まった試み

なごのキャンパスには、創業を目指す人たちやスタートアップ企業だけでなく、法人会員という形で、彼らを支援する立場の事業者が参画している。愛知信用金庫は金融機関として現在3つある事業者のうちのひとつだ。
「おもに週2回、なごのキャンパス内に開設している窓口で相談に応じたり、なごのキャンパスが定期的に開くイベントに参加したり、という活動をしています。具体的には融資相談など。例えば中小の創業者が金融機関から資金を借り入れたいとき、公的機関である信用保証協会が事業者の債務保証をすることで、金融機関からの融資を受けやすくなる仕組みがあります。先日はなごのキャンパスで、とある創業者、信用保証協会、そして愛知信用金庫が三者で顔を合わせて、ご相談の場を持ちました。創業者からは『一度に話ができた』と好評をいただきました」

金庫と職員にも新しい刺激に

信用金庫は地元密着で、中小企業に軸足を置いた支援をする使命がある。そのようなビジョンのもと運営されてきたためか、信用金庫の業務はあまり変化してきたとは言えなかった。「一般的な業務は、大きく分けてふたつです。ご来店いただいたお客様への対応と、支援先を訪問しご要望をお聞きして対応する渉外業務です。なごのキャンパスへの出店は、このどちらとも異なる、新しいスタイルの営業方法だと感じています」と田中は語る。「キャンパスには多様な創業者がいらっしゃいます。規模の大きな企業もありますし、小さくても独自のビジネスモデルを始めようとする方もいます」田中と同じく、なごのキャンパスの窓口にも立つ新保も続けて、「若いかたが多い。シェアオフィスのような空間で、あちらこちらでZOOM会議をしていたり。活発な空気を感じます。業種もさまざまです」多様性のなかにいて、職員が刺激を受けてもいる。

そんな新保は、2~3年の窓口業務を経て、渉外担当も経験。そのいきさつは、「入庫後1~2年のころ、支店長から声をかけてもらって大学の社会人向け夜間プログラムに1年通いました。ブランディングなどのビジネスを学ばせていただいたんです。そのあと、外回りしてみたいかと上司に聞かれ、『出たいです』と。外に出るようになって、よりお客様のことを考えるようになりました」現在は窓口業務もこなしながら、なごのキャンパスに出張するという柔軟な動きをしている。

あいしんにしかできない「つなぐ」役割

なごのキャンパス周辺は、もともと円頓寺商店街を中心に、老舗事業者が多い地域だ。愛知信用金庫は、今は中村支店と統合された菊井支店のころから、こうした事業者とのつながりも深い。「昔ながらのお客様は、なごのキャンパスに行ったことがなかったり、若い経営者と交流したことがなかったりすることも多いと思います。こうした両者の間をつなぐことができれば」と田中は見据える。中村支店はさまざまな可能性を描きながら、新しい「仕事のあり方」を実践している。

全国信用金庫協会
「信用金庫で働く若手職員インタビュー」動画