いま国や自治体は、志ある人が会社をおこして事業をはじめる「起業」を後押しする施策を打っている。
起業に欠かせない資金集めで関わる金融機関にも、起業家をサポートする役割が求められる。
黒川支店でも、そのやり方を模索するなかで、支店内の一室を多目的スペースとして活用する取り組みが軌道に乗りはじめている。
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木野健二
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支店長 前澤好輝
起業家のビジネスプランを支援
0~2歳の小さな子どもたちとその親が、バランスボールに乗ったり、音楽に合わせて身体を動かしたり。黒川支店2階のコミュニケーションホールで見られる光景だ。
ここでは、子どもの発達に遅れを感じている親が集まり、気軽に悩みを話し合えるサロンが毎月、開かれている。主催するのは、この活動を事業として展開することを目指す女性起業家。あいしんは、愛知県がおこなうソーシャルビジネスのコンテストに協賛し、この女性のビジネスプランを「愛知信用金庫賞」に選出した。じつはこのコンテストにあいしんが協賛したのはこの年が2度目だった。「1度目は受賞者を選ぶだけにとどまってしまった。今度は受賞者に寄り添った支援をしたいという想いがありました」と担当した木野は語る。
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「まずは地域が元気に」信金の理念
コミュニケーションホールをサロンの会場として使っていただくことが決まり、女性起業家からは具体的なスケジュールなどのプランが示された。そして2019年の1月よりはじまったサロンは、毎回5組ほどの親子が参加しにぎやかだ。木野が得意とする「バルーンアート」をお子さんにプレゼントしたり、職員と参加者が言葉を交わすこともある。
子どもの発達に悩みを持った親が、相談できるところもなくひとりで抱え込んでいる――。この女性起業家のビジネスモデルの根底には、そんな地域社会が向き合うべき問題がある。だからこそ、場所を提供することに意味があるのだと支店長の前澤は感じている。
「人と人が面と向かって、話をするということが、いまの時代にこそ大きい。こうしたコミュニティを広げていくことが地域のためになれば」もちろん、すぐに金庫としての取引に結びつくことではない。「まずは地域が元気でないと、信用金庫は存在しない。利益追求にとらわれない、相互扶助の精神です」と続ける。
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起業のその先まで支援する場所に
黒川支店には、ほかにも起業や創業を支援する取り組みがある。これもコミュニティホールを活用しておこなう、創業者向けのセミナーだ。税理士と協力して開催するセミナーで、きちんとした会計のサポートや利益が出るビジネスモデルを考えようということを受講者に伝える。「起業は、想いが先行してはじめられるかたがじつは多い。それもすばらしいことですが、その想いを、しっかり継続する商売に変えていくことが大切です」と木野は強調する。信用金庫という場を生かした支援をかたちにすることも、支店の使命になっている。
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「信用金庫で働く若手職員インタビュー」動画
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