日本では、少子高齢化や働き手不足を背景に、女性の社会進出が急務となっている。
女性が働きやすい環境づくりや、管理職に占める女性の割合を増やす社会の後押しは増えつつあるが、女性自ら「もっと活躍したい」と思える意識変化こそが課題ともいえる。
愛知信用金庫で初の女性支店長となった岩谷に、支店長としての仕事について聞いた。

日進支店
支店長 岩谷 美奈子

お客様との距離の近さが「あいしん」らしさ

岩谷が日々奮闘する日進支店は、愛知信用金庫のなかではどちらかというと郊外型の店舗だ。「私がこれまで勤務してきた本店や中村支店、六番町支店などと比べると圧倒的に個人のお客さまが多いですね。そのためアットホームな雰囲気があります。それに合わせて、声がかけやすいお店づくりを心がけています。花壇のお花を見たお客さまから、お店がきれいになったね、というお言葉をいただいたり。事業者のお客様に対しても、あまり構えず自然体で。段階を踏んで、近い関係を作ってから、お仕事のお話をするようにしています。そういう寄り添ったきめ細かさが、他行との差別化になると考えています」

内でも外でもフラットな関係をつくる

支店長の仕事と、支店職員の仕事はまったく異なると思われるが、岩谷はそこに壁は置いていない。お客様にとっては同じ職員であり、お客様が第一という考えによるものだ。「支店には多くのスタッフがいるわけではありません。だから支店長でも自転車に乗って外回りもしますし、窓口でお客様のご案内も何でもやりますよ」
そう言いながらも、支店のトップとしての責任も自覚する。「もちろんお店の経営ということは意識します。日進支店の最終責任者として求められているのは自分ですから」大切にしているのは、職員をよく見ること。「1日1言は全員に声をかけ、コミュニケーションを取るようにしています。以前、本部勤務だったころに金庫全体を見て、声をかけることの大切さを感じたのがきっかけです。年齢差を埋めるという意味でも」

職員の成長を促したい

最近の若手職員からは、成長したいという想いを感じている。「職種の垣根を越えて、お互いがお互いを育てる風土があります。成長意欲を尊重し、何事もやらせてみることを意識しています」金庫としても、時代とともに変化したことがある。「一定の役職以上の女性職員には制服を配らなくなっています。事務服の感覚ではなく、自分で適切だと選んだ服装で仕事をすることで、責任や自覚が芽生えるようにというメッセージがあるのでは」
支店長に、との声がかかったときは重責だと感じたが、思い切って引き受けた。それは後に続く、女性職員たちへのエールなのかもしれない。

全国信用金庫協会
「信用金庫で働く若手職員インタビュー」動画